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■マイスター鉄砲垣講習会〜植周造園椛蛹モ周一郎〜 |
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昨年の網代編み講習会に続き、横浜マイスター活動の一環として、神奈川県造園業協会の庭園部会と教育研修委員会を中心に声を掛けさせていただき、金沢区にある旧川合玉堂別邸・二松庵の鉄砲垣復旧を講習の主題に置き、6月18日、25日、26日の午前9時半〜4時で実施することとした。
1日目は、鉄砲の立子を巻く。2日目は杭を立て胴縁を取り付け、立子をかきつける。3日目は、イボ取りと仕上げ、以上3日間にて、完成する予定で計画をした。
鉄砲垣とは上原敬二氏の造園大辞典によると、「袖垣用、太いマダケを胴縁に裏表にかきつけ、時に吹き寄せとする。立子巻きにもつくる。立子の高さに変化があってもよい故に玉縁を乗せない。鉄砲袖垣ともいう。」とある。
【写真:玉堂邸完成間近の垣根(裏側となる)】 |
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これは、私見だが、古式鉄砲を立て並べた形に似ている所から、そう呼ばれたのではないだろうか。立子をまばらに立てる場合もあるが、多くは詰めて、数本を吹き寄せて大和(裏表交互)に立てることが一般的である。今回の講習会では、ほぼ見切れるように、2〜4本を詰めて立てた垣根を作る。立子は、丸竹を使うこともあるが、多くは竹穂、ハギ、清水竹、クロモジ等で巻いたものを使う。今回は巻鉄砲とし清水竹を使う。
制作の手順は立子作りから始める。まず芯材として女竹をヒシャイで(たたいてつぶす)束ねる。今回は、孟宗竹を割って用いた。清水竹を使う場合には、特に太さに注意して均一に、又断面が正円となるようにする。

【鉄砲の立子を巻く”説明をする大胡氏】 |
次に清水竹で簾状の物を作るが、竹は元、ウラを交互につける。上部3箇所にキリで穴を開けるが、ウラが上に来るものは、若干穴の位置を内側に寄せてキリモミする。こうすることで、仕上がり時に外面が凸凹しない。穴に鉄線を通し、簾状にする。以上、出来上がったものを芯に巻きつけ、胴縁間に鉄線を掛け締める。
立子の準備が整ったところで、現場に運び、杭を立て胴縁をあてる。胴縁は唐竹二本通りで、留杭には小穴をつき、差し込んで釘止めとする。間杭は、丸太を芯に使い清水竹の簾を巻き立子と同じ形態にしたものを立て、胴縁を釘止めする。 |
立子のかきつけは、先に述べた通り2〜4本を吹き寄せ表裏交互に立てる。いぼ取りは、染棕櫚縄三本取りにて、遠州いぼねじりこみとし、胴縁と交差するところすべて取る。縄が裏でよれぬよう、裏を返す手元と二人の方が、仕事が楽である。いぼを取り終えたあと、鉄線を引き抜く。
前出の竹穂、クロモジの場合は、清水竹と異なり細く柔らかいため、針金掛けの数を増やす。その場合、銅線のいぶしたものを使用する。針金掛け位置にくびれが出来ないよう注意する。
また、上部30センチ程を箒状にばらけさせたものを茶せん鉄砲という。同種を極低く75センチ程の高さにてこしらえ松明垣と称した我社創作の垣もある。
丸竹を用いる場合は、じか立てとするが、巻鉄砲では、立子の下に石を敷いてある場合が多く、これを指石という。指石という呼称は、四阿の壁下に並べてあるものも同様である。
鉄砲垣は、立子のくばり、胴縁の入れ方、高さの変化などで、見切るようにもでき、また見とおすようにも出来るおもしろいものと思う。
今回の講習会に協力頂いた神造協事務局ならびに庭園部会、教育研修委員会の皆様、参加して下さった皆様またその事業主の皆様、お忙しい中をありがとうございました。
講習会参加者の作品がしばらく二松庵の庭を飾ります。
次回のこのような折にも、よろしくお願い申し上げます。
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植周造園梶@大胡周一郎 |
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