
【古川さんおめでとうございます】 |
平成17年5月25日、県庁大会議室にて、松沢県知事より「神奈川県民功労者」として、当協会元副会長の古川香氏が表彰されました。
多年に亘って造園業に携わり、横須賀支部長、理事、副会長などを歴任、造園技能の向上と後進の指導育成に優れた成果をあげ業界の振興に尽くしたことに対して贈られたものです。
今回の功労者表彰を受けられた古川氏は゛造園業界にオーガニックを…漢方生薬による無農薬管理の提案の普及に取り組んでおられ第1人者として日々研究されておりますので今回その1部をここにご紹介させていただきます。 |
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◎漢方農法について 古川香 |
人にも環境にも安全で安心できる緑化管理を抗菌抗原虫作用、嫌虫作用を保有する各種漢方生薬の総合的な配合により健康な植物を育て病害虫から守るため又健康に育てる為の環境創りを目的に作られています。農薬ではありませんので害虫は追い払い弱め害を及ぼさない環境を作ります。
(1)環境汚染の現状
近年では農薬による環境汚染が大きく取り上げられ、やがては「人体にも害を及ぼすであろう」と危惧されています。農薬は散布することにより植物(野菜、果物、樹木等)の表面に付着するだけでなくその1部は内部組織にも浸透し洗浄によっても除去されません。結果、葉、茎、根から可食部に移行蓄積されることが「薬物残留」と言われております。日常の主食として食べられている「米」も玄米では糠部、胚芽部に高濃度の残留農薬が検出されることが多く又ハウス栽培の生産は密閉状態で多量の薬剤を散布するうえ降雨や日光による残留農薬の減少を望めないので一般の畑栽培の生産に比較し残留性が高まる結果となっています。
同様に農薬は害虫、病原菌を殺すことを目的として散布されますが逆に害虫の天敵であるクモ類(クモは害虫を食する昆虫)も一緒に駆除されていきます。その後農薬散布を繰り返すことによる抵抗性(免疫)を持つ種の虫が出現し知らず知らず高濃度の薬剤が散布されるようになりついては人体にも害を及ぼす存在となってきます。又土壌中に化学肥料、未熟な有機質が多量に施肥されていると有毒ガスが発生し病害虫発生の元になると同時に土壌の地力を低下させる原因にもなってしまいます。又未熟な有機肥料は牛糞と併せ窒素過多になると硝酸態窒素残留濃度の高い野菜が出来体内に入ると亜硝酸に化学変化し肉、魚、蛋白質と結合することで、ニトロアミンという成分に変わりこれが発ガンの元となるのです。 |
◎施肥に対する考え方〜煮焼肥〜 |
漢方農法では煮焼肥を使用して漢方の生薬絞り残渣を基本として一旦熱処理してあると同時に残渣に含まれている花、実、茎、皮、葉、根の漢方生薬の処方で構成されています。それらに含有する薬効成分も二次効果で植物に有効成分を持続的に供給し続ける働きを兼ね備えています。
漢方煎じ滓は高温圧力釜で煮てある為土中で分解しにくいリグニン、セルロース等の組成が壊れやすくなっており土壌菌に対して吸収率の良い成分(花、実、菜)に分かれ持続的肥勃を表し、骨炭は牛の骨を高熱処理し炭化させたもので、天然有機質のリン、カルシウム、ミネラルを含有し多孔質で表面積の大きい保水性、透水性、吸着性(有毒ガスの分解脱臭)を持つものです。サンゴは有機石灰で海の珊瑚を塩分除去し高熱処理したもので多孔質でカルシウム、リン、マグネシウム、イオウ、銅、鉄等のミネラルを含んだものです。これらのものを煮焼肥といいますが第1に自らガスを出さないものを土壌へすき込むことが大切です。
ボカシ肥と化学肥料
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一般的なボカシ肥及び有機物(油カス、魚カス、大豆カス等)を使用する有機農法では完全に発酵していない限り病害虫の発生を止めるのは難しく土質、地温、気温、湿度に影響を受けやすく毎年同じものが出来る可能性は低く化学肥料よりましという考えで作っていると危険な賭けになってしまいます。それらの有機質には分解しやすい糖類などが多く含まれ未熟中熟的な有機質が分解する時土中の酸素を奪うため一時的な酸欠状態に置かれます。種子が撒かれていれば発芽か不良根ができ根の衰弱の原因になります。メタンガス、アンモニアガスも発生しガス障害結果になります。 |
【写真:アセン薬、モツ薬、乳香を松に塗布している所(殺菌、樹勢回復の為)】
化学肥料は理化学的条件(通気性、排水性、PH)を悪変させ地力を低下させ病害虫の多発の原因になり土壌養分の正常な分解作用を阻害し植物の生育障害を多発させるものなのです。煮てある肥料としてビール糟、コーヒー糟がありますがこれらも大量に土中にすき込むと土着微生物群が偏り根巻微生物バランスを崩す為限度量を考えて使用しなければなりません。 |
◎植物と人間のため |
人間はどんな優秀と謳っている健康食品でもそのものだけを摂取しても生命を維持させることは難しいものです。バランスの良い食事を心がけ良質のビタミン、ミネラルを摂取し健全な体を作り上げるのですが弱っている体に過剰肥料を投入すると同じようにスポーツ選手並みに高カロリーの食事を与えられたら成人病になってしまいます。糖尿病のカロリー計算と同じ様に肥料量を考えなければなりません。人間は体重10キログラムに対し300カロリーあれば生活に支障がありません。肥料の低カロリー化と窒素(N)リン(P)カリウム(K)だけの無機物に頼るものではなく人間の食事と同じように良質のミネラル類(微量元素)と天然ビタミン、植物性アミノ酸を与えると土壌治癒力と土壌回復力が高まり森の土が持っている病害虫を寄せ付けない力を得るもので、植物が持っている力を最大限に生かすフィトンチッド(植物性殺菌物等)を放出して(人間で言うと免疫抗体のようなものを植物が産出する物質)有害微生物の繁殖を防ぎ、又他の生物を殺す物質を回りに発散させたりします。
自然界は自然の中に少ない物質が大量に入ると拒絶反応を示す。そして本来植物が持っている自己防衛的力をも奪ってしまいます。抵抗力が低下すれば人間も病気になり死に至る:植物も同じである。人間の体と土、血液と水、腸内細菌と微生物、植物も人間も生命を維持させるのに必要なものは食事(肥料)バランスである。発酵食品(味噌、醤油、酢等)だし(昆布、かつおぶし等)が体にとって重要な位置をしめるが野菜、作物、果物にも消化能力が高く吸収しやすい低カロリーで持続力のある肥料こそ硝酸態窒素が少なく苦みのない野菜が出来、甘み、日持ちのよさが際立つ野菜こそ、作付けした人間に対する感謝の気持ちの表われと考えます。 |