■馬堀海岸カナリーヤシ植栽工事を終えて

田野井造園株式会社 山越 俊二
 平成17年3月25日〜平成17年10月20日の間、国土交通省の発注により、一般国道16号(横須賀市馬堀海岸一丁目より横須賀市馬堀海岸二丁目まで)の緑地帯(中央分離帯)にカナリーヤシ等を植え付けする道路植栽工事を行いました。(ヤシ植栽は、6月27日〜7月21日の間)
 馬堀海岸地区の国道16号は、緑陰道路プロジェクトモデル地区であることを踏まえ、より良い樹木の選定を行い良質な緑の、道路空間を構築する為に、材料・施工法・施工時期等について十分検討しました。また、樹木の配置に当っては、護岸工事と連携と調和を図りながら決定し作業を進めて行きました。

 国道16号横須賀市馬堀海岸地区は、横須賀市から応募により平成15年5月7日にモデル地区指定を受け植栽する木はアンケートにより、カナリーヤシに決定されました。また、当地区では平成7・8年の大型台風による浸水被害を契機とした「横須賀港馬堀海岸地区高潮対策事業」が進められていて護岸にもカナリーヤシの植栽が行われています。
カナリーヤシ 街路樹 R16号線 2006.9.3撮影
 「緑陰道路プロジェクト」
 地域の個性を活かした親しみが持てる美しい街並みを形成し、都市の顔として誇れる道路空間を創造することを目的とした国土交通省の取り組み。

 ヤシの産地としては、宮崎県が有名ですが、運搬距離、時間等を考慮し、八丈島にて手配することを決め、樹木選定に行きました。

 今回の規格は、幹高5〜6の大木で選定に難を極めましたが、道路植栽(中央分離帯)に合う曲がりがないものを必要本数確保することが出来ました。
 カナリーヤシPhoenix canariensis(カナリー諸島原産)
 俗にフェニックスとも呼ばれる。ヤシの仲間の中では耐寒性が強く、南関東以南で栽培可能。原産地では20くらいまで育つが、日本では通常5〜10程度。成長は遅く、また、木の景観上、剪定の必要性はないが、下の葉から枯れあがるため、枯れた葉は順次切除する。
 ヤシの木運搬は、海路は、東海汽船にて東京・竹芝桟橋まで運び竹芝桟橋からトラックに積替え馬堀海岸まで陸送しました。

 運搬に当っては、新芽を痛めないよう古葉をしおり保護しました。

 道路規制時間(9:00規制開始・17:00規制解除)により1日の植栽時間が短くなる為、前日に4箇所掘削し、当日ヤシの木到着までに植え穴に通気管を取り付け、パーライトを敷き床土を入れる準備作業を行い、到着後ラフタークレーンにて立て込み地下支柱を取り付け、客土を入れ丸太支柱を取り付け1日4本植栽しました。
トラックでの運搬
植え穴の準備 クレーンでの立て込み 地下支柱取付
 冬には、国土交通省の維持管理業務において防寒対策をして頂きました。

 防寒作業は、古葉を除去後竹を添わせながら新芽を荒縄で固定し寒冷紗やコモを施し荒縄で固定しずれ止めを行い新芽を寒さや風から守ります。

 カナリーヤシ植栽からまもなく1年を向かえますが、台風や、寒風にも耐え枯れた木もなく順調に生育しています。

 現在の馬堀海岸は、護岸工事でのカナリーヤシ植栽も終え南国ムード漂う海岸に変貌し、人々が散策やウォーキングを楽しむ憩いの場として親しまれています。

 


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