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今も変わらず花の時季には多くの来園者を引きつけている桜は、一七・五ヘクタールの園内に約三〇〇本生育していますが、絵はがきの頃と比較すると少なくなった印象を与えます。戦後、山中の薪炭材が活用されなくなったためか、タブノキ、ヒサカキなどの常緑樹が優占し、しだいに桜をはじめとする落葉広葉樹や黒松が衰退したと考えられています。
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| この大きく生育した常緑樹により桜や黒松だけで無く、三溪園を象徴する建造物である旧燈明寺三重塔の眺望が失われていました。この三重塔は当初、黒松が群生する小高い丘の上に建てられ、広大な庭園内のいたる所から望むことができる庭園風景の重要な構成要素となっていましたが、塔周辺や園内に点在する常緑樹が大きくなりすぎたのです。そのため、三溪園を管理・運営する財団法人三溪園保勝会では平成一八年に三重塔周辺の樹木を伐採し、跡地に桜や黒松を植栽する工事を実施しました。現在も、桜と黒松からなる本来の景観と三重塔の眺望を取り戻そうと、同会職員により樹木伐採と桜や黒松の植樹が実施されています。 |
| 観桜の夕べ |
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| 岐阜からやってきた二種の桜 |
| 桜の植樹には染井吉野や山桜、枝垂れ桜のほか、開園一〇〇年を記念して原三溪の生誕地である岐阜から贈られた二本の桜が植えられました。 |
| 一本は柳津高桑星桜といい、花びらの先がとがり白色をした花全体が星形に見えることから名付けられた花です。この花は三溪の郷里である佐波とほど近い岐阜県柳津町高桑(現在は岐阜市と合併)で明治の中頃から育成されてきた品種で、花期が長く二週間ほど楽しめるという特徴があります。 |
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柳津高桑星桜
(内苑入口と大池の中ノ島に植えられた) |
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もう一本は淡墨桜で樹齢一五〇〇年といわれる国指定天然記念物「根尾谷淡墨桜」の二世の苗木です。書画を嗜んだ三溪自筆の風景画の中に出身地の名木であった淡墨桜の絵があったことが縁となり、園内では二本目となる淡墨桜の苗木が岐阜県本巣市より贈られ正門近くに植えられました。
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| 絵はがき「三溪園の桜」 |
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