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■「水源の森林づくり事業」について |
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○今年度より始まった「かながわ水源環境保全・再生施策」 |

【荒廃して土壌の流出を起こしている森林】 |
飲水思源いんすいしげんという中国の熟語があります。水を飲むときは、その源のことを思いなさいという意味です。
私たちが日々の生活で利用する水は、ダム湖をはじめとする県内の水源により賄われています。その源は今、どうなっているのでしょう。
実は、水を育む水源環境は森林の荒廃や上流域における生活排水対策の遅れなどによって深く傷ついています。このまま放置すれば、安全で安心な水利用は損なわれることも心配されます。
そのため、県では水源環境の保全・再生について様々な議論を重ね、平成117年度に「かながわ水源環境保全・再生施策大綱」を策定し、方向性などを定めました。 |
さらに、それを踏まえた「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」を策定し、平成19年度から5年間で充実・強化して取り組む事業として、水源環境の保全・再生への直接的な効果が見込まれる事業を中心に、12の事業を位置付けました。
そして、そのための財源として、今年度より個人県民税の超過課税をお願いしています。 |
○「水源の森林づくり事業」が中心に位置付けられています |

【水源の森林エリア】 |
その12の事業の中に、水源地域の森林の保全再生を担う事業として「水源の森林づくり事業」が位置付けてあります。
この事業は平成9年にスタートし、これまで着実に実績を重ねてきましたが、改めて「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」に位置付け、新しい税金も導入して、さらにより一層の推進をすることになりました。
この事業については既にご存じの事とは思いますが、簡単に説明をいたします。
水源地域の森林の多くが私有林であり、林業の不振と共に手入れ不足の状態が続いています。さらに、丹沢周辺ではニホンジカの採食圧により、森林の下草が無くなることにより植生の単純化や土壌の流出が起こり、大きな問題になっています。これらの問題を個人所有者にだけ委ねている訳にはいかないということで、「水源の森林づくり事業」が始まりました。 |
この事業は、水源の森林エリア内の私有林において@県が森林所有者と分収契約や協定の締結、立木や土地の買取りを行い、管理や整備を行う公的管理と、A森林所有者自らが行う整備に対して補助を行う公的支援に分かれます。こうして森林所有者と契約などを結ぶことを確保と呼んでいます。
公的管理では、確保した手法毎に、それぞれの森林をどのような森林にしていくか目標を定めます。これを目標林型と呼び、複層林、巨木林、混交林、広葉樹林の4つがあります。 |
(表1)確保手法別目標林型 |
確保手法 |
目標林型 |
水源分収林 |
複層林 |
水源協定林 |
広葉樹林・混交林 |
買取(水源立木林) |
巨木林 |
買取(水源公有林) |
広葉樹林・混交林・巨木林 |
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県で行う森林整備はこれらの目標林型に向けて計画的に整備を行い、水源かん養機能などの公益的機能を十分に発揮できる状態に誘導していきます。
森林の整備方法については、整備の結果が出るまで長い時間もかかるため、土壌の流出量や下草の生育量などを経年的に調査し、整備方法を検証しながら、より適切な技術に修正していく順応的な対応を取ることにしています。 |
○増え続ける森林整備面積 |
元々手入れ不足で荒廃していた森林を1回整備しただけで、すぐに公益的機能の高い森林になるわけではありません。間伐が遅れていて密度が高いからといって、いきなり半分を間伐しては気象害や土壌流出を起こす危険もあります。何回か間伐を繰り返し、長い期間をかけて再生を図っていかなければいけません。公益的機能が発揮されるまでには長い時間がかかるのです。
そのため県と森林所有者の契約などは期間が長くなり、確保した森林は累積していきます。確保した森林は5から10年に1回整備することになりますので、年間の森林整備の事業量も確保した森林面積に応じて増え続ける事になるのです。 |
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巨木林
スギ・ヒノキの人工林において長期にわたる間伐などの手入れを行い、樹齢=han=100年以上の巨木林にします。巨木林では、多様な草木が生え、様々な深さに張り廻らされる根が、土壌の流出を防ぎます。
複層林
スギ・ヒノキの人工林において一定の林齢になるまで間伐等の手入れを行い、樹齢の異なった上下2層の森林にします。上木を切っても、下木が残るため、収穫時の裸地化、草地化を防ぎ土壌の流出を防ぐことができます。
混交林
スギ・ヒノキの人工林において、土地本来の広葉樹が自然に生えてくる条件を整え、スギ・ヒノキと広葉樹が混生する森林にします。多様な樹種で構成されることにより、様々な深さに張り廻らされる根が、土壌の流出を防ぎます。
広葉樹林
土壌保全工、植生保護柵の設置、森林の手入れ等を行うことによって土壌を安定させ、土地本来の様々な草木を生やします。多様な樹種で構成されることにより、様々な深さに張り廻らされる根が、土壌の流出を防ぎます |
(表2)水源の森林づくり事業全体計画 〔単位:f〕 |
区 分 |
26年計 |
実績H9〜H18 |
計画H19〜H34 |
確保計画 |
27,000 |
8,530 |
18,470 |
設備計画 |
50,467 |
7,5604 |
2,907 |
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表2に全体計画を示したとおり26年間で27,000haの森林を確保し、50,000haの整備を行う計画です。実績では平成9年度から18年度までに8,500haを確保し、7,500haの整備を行ってきました。冒頭でも述べましたとおり、新しい税金を導入してより一層の推進を図りますので、これまでより多くの事業量を実施することになります。今後、16年間で18,000haを確保し、42,000haを整備する計画です。 |
○森林整備にご参加を |
長い時間をかけ、広大な水源林を公的に管理・整備、支援していくためには、たくさんの方々に森林整備の担い手としてたずさわっていただきたい、と考えています。県では担い手のすそ野を広げるとともに、技術力のある人材を育成するために森林整備基本研修を実施しています。森林整備に参加していただき、水源地域の森林を再生に向けた取組の一翼を担っていただくことを期待しておりますのでよろしくお願いします。【右写真:スギの大木や多様な樹種で構成される豊かな水源林】
水源の森林づくり事業に関する問い合わせは
神奈川県環境農政部森林課水源の森林推進班まで
TEL:045―210―4365 / FAX:045―210―8849 |
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